年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない


そんな場所を当たり前のように指定するのが、あの鷹野君なのだ。そんな人を私は仕事ということだけで、容赦なく厳しく指導してきてしまった。今更ながら過去のことを後悔するが、もはや手遅れだろう。

車から降り、一瞬外の熱気で汗ばみそうになるが、ひんやりとしたホテルのエントランスに入り、私は小さく息を吐いた。広々としたロビーは大理石の床が陽の光を受けて輝き、ガラス張りの天井から光が降り注いでいた。

エレベーターで十七階へ上がると、そこには別の世界が広がっていた。足元には石畳が敷かれ、苔むした庭としだれ柳が出迎えてくれる。静かに流れる小川のせせらぎが耳に心地よく、思わず足を止めたくなるほどの美しさだった。
< 89 / 274 >

この作品をシェア

pagetop