王太子の婚約破棄で逆ところてん式に弾き出された令嬢は腹黒公爵様の掌の上【短編】
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今日はハインリ王太子とシャルロッテ公爵令嬢の結婚式。
ディアナはアルベルトから贈られたドレスを纏い、そわそわと婚約者の到着を待っていた。
「お母様、変ではないですか?」
「はいはい、変ではないですよ」
何度も同じやり取りをして、母親はにこりと微笑む。
王子が婚約者だった頃は、社交の場に出る日はどこか義務的な様子だった。
でも、公爵の時はまるで恋する乙女みたい。
最初は心配だったが、今は公爵が新たな婚約者になってむしろ良かったのだと安堵していた。
あれから二人の関係は急速に近付いて、今ではもうどこから見ても相思相愛だった。
穏健派の騎士たちは純粋に二人を祝福し、過激派の人間もだんだんとディアナを受け入れてきた。
彼女は自分の政治的主張は決して変えなかったが、反対派の意見にも耳を傾けるようになった。
アルベルトもディアナを無駄に煽るような真似は止めて、普段の彼らしく冷静に対処するようになった。
彼女はそれがちょっと寂しかったりして。