魔法のマーメイドクラブ
 暑かった太陽が、フッと消えた。しゃがむわたしたちの上に、影ができている。
 うしろに、なにか……いる!
 おそるおそる見上げると、スラッとした男子が立っていた。
 キリッとした眉を上げて、茶色の髪がまぶしい。

「おっ、キリヤくんダ! オッカエリ〜」

 ヒラヒラと手をふるアクアちゃんと、隠れるように小さくなるわたし。
 見られた? どうしよう。こんな近くに霧谷くんがいるなんて、思わなかった。

「今、なにしてた?」
「……えっと、猫ちゃんに、牛乳を」

 追い討ちをかけるセリフに、言葉がどもる。
 次はどうやってごまかそう? 空のときみたいに、またうまくいく済むとは思えない……。
 助けを求めようとしたけど、アクアちゃんはポカンとキリヤくんを見ている。
 ダメダメ。わたしがしっかりしないと、秘密がバレちゃう。

「花池さん。その猫と、話せるの?」
「そんなわけ……ないよ」
「昼も見た。校庭で、二人がその葉っぱ大きくしたとこ」

 そこまで言われて、なにも返せなくなった。
 あの物音は、霧谷くんだったんだ。
 何度も魔法アイテムを見られているから、もう隠せないよ。
 まわりには、わたしたち以外誰もいない。
 正直に話して、黙っていてもらうしか……ない。

「あ、あの、このこと、三組のみんなには」
「俺も、仲間に入れてよ」
「……え?」
「ぜったい秘密にするから! 魔法、俺もやってみたい!」

 驚いた。いつも冷静で落ち着いている霧谷くんが、こんなふうに前のめりに話すなんて。
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