魔法のマーメイドクラブ
 びっくりしてふり向くけど、誰もいない。
 気のせい……ではないと思うけど。
 もしかして、葉っぱが大きくなるところ、誰かに見られた?

「ネコかイヌか、クマかなァ?」

 のん気なアクアちゃんが心配だ。ことの重大さを分かっていない気がする。
 学校のプールを止められているのだって、人前で人魚にならないためのはず。

「学校でアイテム使うの、やめよう? みんなに見つかったら、大変だし」
「……ワカッタ!」

 少し考えるようにして、アクアちゃんは大きく返事をした。
 わかってくれたんだ。ホッとしたら、昼休み終わりの音楽が流れてきた。

 念のため、近くをキョロキョロと見たけど、やっぱり人の姿はない。雨の中、グランドへ出ているのはわたしたちだけみたい。
 気にしすぎたかな。それからすぐに、わたしたちは教室へと帰った。

「ニャンニャンも大変ダネ〜。ほら、給食で残した牛乳あげるカラ、元気ダシテ」

 学校から帰る途中。とっくに雨は止んでいたけど、昼の葉っぱを日傘にして遊んでいた。
 通学路で見つけた子猫に、そっとあげて陰にしてあげる。

「アクアちゃんって、すごいね。猫とも話せちゃうんだ」

 いいなぁ〜と、となりにしゃがんだら、スポッと耳がふさがれた。
 前にも貸してくれた、【ペラペライヤホン】だ。

『ヒヨケ、ミルク、アリガトニャン』
「あ、ど、どういたしまして」

 思わずペコリと頭を下げたら、アクアちゃんがキャハハと楽しそうに笑った。
 すごいよ。このペラペライヤホンをつけていると、動物の言葉がわかっちゃうんだもん。
 そういえば、カラスのときは、アイテムを使っていなかった。どうして、聞こえたんだろう?
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