魔法のマーメイドクラブ
 浅瀬のところで、一番初めに泳ぐ人が準備している。あとの人たちは、それぞれの位置でゴムボートで待機。
 今、一緒にいる五人で競争することになる。みんな普通に泳げる子ばかりだ。急に、お腹が痛くなってきた。

「花池さん、大丈夫? 体調悪いなら、棄権してもいいのよ」

 三番目レーンのボートに付き添っている担任の先生が、心配そうにわたしを見ている。

「……できます」
「そう? ならいいけど」

 ゆっくり深呼吸していたら、少しはマシになってきた。
 このあたりは浅いし、ほとんど波もない。
 アクアちゃんと、カナトくんと約束したんだもん。練習した成果を、出さないと。

 しばらくして、マナちゃんの姿が見えてきた。離れたとなり側には、アクアちゃんもいる。靴らしき物をはいているけど、どうやって許可をもらったんだろう。
 みんなすごく速いスピードで、接戦だ。ボートから降りて、海水の中で待つ。

 ここへは持って来れなかったけど、リュックにつけてきた。カナトくんからもらった、海のお守り。
 お願いします。どうか、わたしを見守っていてください。

 マナちゃんからタッチを受けて、顔を沈めた。いきおいよく飛び出して、前へ進む。
 怖くて仕方ないけど、なにもできなかった時とは違う。手の動きや息の吸い方まで、いっぱい練習したんだから。
 順調に泳げている。でも、他のみんなから離されている気がする。
 そのとき、足先がピンと張って、動かなくなった。どうしよう。足がつっちゃったみたい。
 ブクブクと沈みかけては、必死に顔を出してをくり返す。

「た、たすけーーて」

 ーー溺れそうになったときは、暴れないこと。力を抜けば、自然と浮くから。

 カナトくんの言葉が耳に聞こえる。
 そんなこと言っても……ムリだよ。足が引っ張られているみたいに、沈んでいく。
 こんなことなら、アクアちゃんに魔法アイテムを借りておくんだった。素直に浮き輪を使っていたら、よかった。

 意識が遠のきそうになったとき、ザバンッと体が持ち上がって、キラキラした水面が目の前に現れた。
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