魔法のマーメイドクラブ
 なにが起こったの? 攻撃してこなかったけど、わたしの勘違いだったのかな。
 なんだかよくわからないけど、助かった。

『ソコノオマエ、キヲツケロニャン。ヤヤコシイノロイガ、カカッテルニャン』

 抱っこされたまま、シャンスはしっかりとわたしを見ている。
 また、呪い……? 前、パトラにも言われた。
いったい、なんのことだろう。

「……ミイ、その足どうした?」
「え? 足?」

 見ると、右足首がキラキラしている。パープルのうろこみたいなものが、線状に貼り付いていた。

「なに……これ?」

 足をブンブンとふっても、指で引っかいても取れない。というか、体の一部になっている?

「ちょっと止まっテ! 首にもあるネ。光ってル!」

 わたしの髪を持ち上げて、アクアちゃんがじっと見ている。

「そこ……アザは昔からあるけど、光ってる? なんで?」

 アザのところが、熱くなってきた。心臓がドキドキしている。

「カナト、手伝ッテ! 超高速で、おばさんトコ行くヨ!」

 カナトくんからシャンスを離して、アクアちゃんが自分の肩へと乗せた。次にわたしを持ち上げたら、カナトくんの腕にひょいっと落とす。

「えっ、うわっ!」
「ア、アクアちゃん⁉︎」
「このまま、イッキにレッツゴー!!」

 ものすごいスピードで飛んでいくから、アクアちゃんが豆粒みたいだ。
 取り残されたわたしたちは、お姫さま抱っこの格好だ。ウィングの力で、重さはあまり感じないはずだけど……とんでもなく恥ずかしい!
 というか、こんなに接近しちゃったら、ドキドキが伝わっちゃうよ!

「ご、ごめんね……自分で、歩けるから」

 目を合わせられない。りんごみたいに真っ赤だ。絶対、変な顔になっている。

「……この方が早いってことだろ。緊急事態みたいだし」

 チラリと目線を上げると、カナトくんは真面目な顔で「つかまってて」とつぶやいた。
 ほんの形ばかりに、そっと肩に手を置く。抱きつく勇気はない。
 右足をうしろへ踏み込むと、そのまま一気に加速した。
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