魔法のマーメイドクラブ
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「あらま、これまた面倒なことになってるね」

 わたしの足首を見て、波木さんがハハハと笑った。
 リビングのソファーに座って、おしゃれな台に乗せた足を左右に動かす。それから、指二本でスーッとさわると、波木さんは「うーん」と首をひねった。
 手のひらをかざしながら、呪文のようなものをとなえ始める。

「海なる神よ、七色の力をもって、みそぎはらいたまえ」

 ブレスレットがポワーンと青くなるけど、光はすぐに消えてしまった。うろこ模様は、まだしっかり残っている。

『ニンギョノミソギダナ?』

 カナトくんのひざの上で、シャンスがふてぶてしい態度でつぶやいた。

「そうよ。よくご存知で。でもやっぱり、これじゃ効かないわね」

 やれやれといった感じで、波木さんは苦笑いする。
 透明のシールを持ってきて、わたしの足首へペタンと乗せた。

「美波ちゃん。この呪いは、私では払えない。とっても強力な魔力が込められてる。なにか心当たり、ない?」

 ぶるぶると首をふる。
 知らない。呪いをからられる理由も、いつかけられたのかも。

「……首のアザは、小さいときからあって。でも、光ったのは初めてです。足は、言われるまで気づかなかった」

 アクアちゃんとカナトくんも、心配そうに見ている。
 シールはぷるんと膜を張って、足首を包みこむ。うろこ模様が薄くなって、ほとんどなくなった。

「ノロイ、消えたヨ⁉︎」
「ほんの気休めよ。呪いを払えたわけじゃない。魔力を抑え込んで、ごまかしただけ」

 波木さんの言葉に、アクアちゃんがシュンとなる。

「たぶん、美波ちゃんは二度かかっているのよ。人魚の呪いに。ひとつは、とっても新しい。まだ最近ね。もうひとつは、とっても古い。もっと小さな頃だと思うわ」

 最近……そう聞いて、ハッとする。
 臨海学校で泳いだとき、足首をひっぱられている感覚があったの。
 あのときは、足がつったと思っていたけど、もしかしてーー。
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