キスはボルドーに染めて
「大切な話?」

「そうよ、とても大切な話……」

 純玲はおもむろに手を伸ばすと、自分の後ろに隠れていた結翔の肩をそっと抱く。

 結翔は純玲に肩をささえられ、「ぱぁ」と可愛らしい笑顔を見せた。

 その姿を見た瞬間、蒼生は再び息を飲むように目を見開く。


「子どもが……生まれていたのか……!?」

 動揺を隠せない様子の蒼生に、純玲はにっこりとほほ笑んだ。

「結翔よ。もう二歳になるわ……」

 純玲は結翔を抱きしめると、チラッと陽菜美の顔を見る。


「そちらの秘書さんにはね、さっき結翔と二人でご挨拶したの」

「陽菜美と……?」

 戸惑ったように陽菜美を振り返る蒼生を見て、純玲は楽しそうに肩を揺らした。

「当然でしょう? だってお仲間ですもの、仲よくしなくちゃ。蒼生がベッドで、どんな顔を見せるか知っている者同士……」

 純玲が口元を引き上げた時、くわっと目を見開いた蒼生が、バンと手のひらをシンクの上に叩きつけた。

「純玲……そんな話をして、君は何がしたいんだ!」

 押し殺したような蒼生の声に、ふふっと笑い声を出すと純玲は静かに顔を上げる。
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