キスはボルドーに染めて
「結城さん! 大変なの!」
やや悲鳴に近い声を出しながら駆け入って来たのは、総務部の女性社員だ。
「すぐに、非常階段まで来て!」
女性はずんずんと部屋の中を進むと、訳がわからず戸惑う陽菜美の腕をぐっと引っ張る。
陽菜美は女性にせかされるように、慌てて部屋を飛び出した。
不安な気持ちを抱えたまま廊下を早足で進むと、すでに非常口の近くには数人の社員が集まっている。
「ねぇあれって、結城さんが大切にしてたものだよね?」
女性が指さす先を見た陽菜美は、目に飛び込んできた状況に、はっと息を飲むとその場で動けなくなった。
非常階段には、叩き割られたと思える鉢植えがバラバラに散らばっており、その近くには土とともに踏みつぶされた幹が転がっていたのだ。
「なにこれ、ひどくない?」
誰かが小さくつぶやいた。
「なんでこんなことになってんだよ!?」
どこかで憤慨する杉橋の声が聞こえた気がする。
陽菜美は遠のく意識の中で、声にならない声を上げると、バッとその場を駆けだした。
やや悲鳴に近い声を出しながら駆け入って来たのは、総務部の女性社員だ。
「すぐに、非常階段まで来て!」
女性はずんずんと部屋の中を進むと、訳がわからず戸惑う陽菜美の腕をぐっと引っ張る。
陽菜美は女性にせかされるように、慌てて部屋を飛び出した。
不安な気持ちを抱えたまま廊下を早足で進むと、すでに非常口の近くには数人の社員が集まっている。
「ねぇあれって、結城さんが大切にしてたものだよね?」
女性が指さす先を見た陽菜美は、目に飛び込んできた状況に、はっと息を飲むとその場で動けなくなった。
非常階段には、叩き割られたと思える鉢植えがバラバラに散らばっており、その近くには土とともに踏みつぶされた幹が転がっていたのだ。
「なにこれ、ひどくない?」
誰かが小さくつぶやいた。
「なんでこんなことになってんだよ!?」
どこかで憤慨する杉橋の声が聞こえた気がする。
陽菜美は遠のく意識の中で、声にならない声を上げると、バッとその場を駆けだした。