キスはボルドーに染めて
 蒼生は一旦口を閉じると、陽菜美の前に透き通った瞳を覗き込ませた。

 真っすぐに自分に向けられた蒼生の瞳は、なんて美しいんだろう。

 陽菜美がそう思った時、蒼生は少しだけ緊張した表情を見せると小さく息を吸った。


「陽菜美、君を心から愛してる。俺は陽菜美と、一生を共にしたいと思ってるんだ。陽菜美は、その……どう思っている?」

 珍しく蒼生の言葉は、最後は少しだけ小さくなる。

 でも陽菜美は、その言葉にはっと目を開いた。


 ――これって、つまり……プロポーズ……!?


 そう思った途端、陽菜美の瞳が再びうるうると涙でいっぱいになる。

 陽菜美はたまらず勢いよくジャンプすると、蒼生の首元に抱きついた。


「お、おい、陽菜美……」

 蒼生は突然の陽菜美の行動に少し慌てた様子だ。

 それでも陽菜美は蒼生の首元に回した手に、ぎゅっと力を込めた。

「もちろん、私も蒼生さんと一生を共にしたいと思っています……。ずっとずっと、これから先ずっと……」
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