キスはボルドーに染めて
 陽菜美がそう言い終わるか終わらないかのうちに、蒼生はひょいと陽菜美を横に抱き上げる。

「やっぱり陽菜美は、はちゃめちゃだな」

 蒼生はそう言うと、お姫様抱っこした陽菜美に、にやりと悪戯っぽい顔を覗き込ませた。


「もう俺は今すぐにでも、陽菜美を食べてしまいたいくらいなんだが、いいかな?」

「た、食べるって……もう、蒼生さんったら!」

 くすくすと肩を揺らした二人は、こつんとお互いの額を当てる。

 街行く人々が不思議そうに見つめる中、まるで映画のワンシーンのように、二人はいつまでもお互いを抱きしめあったのだ。


 その夜、陽菜美は今までよりも何倍も甘い蒼生の愛情に包まれながら、夢見心地の時間を過ごした。

 心の重しから解放された蒼生は、いつもより少し雄々しくて、それがより陽菜美を昂らせた。

「陽菜美、愛してる」

 甘い吐息とともに注がれる蒼生の熱を感じながら、陽菜美は自分の全身が満たされていくのを感じる。

 そして二人は、お互いを慈しむように、ゆっくりと時間をかけて愛し合った。
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