キスはボルドーに染めて
「音羽室長は、取引先に寄ってから出社されるとのことです」
陽菜美がやや棒読みで答えると、杉橋はくすりと笑いながら顔を覗き込ませた。
「音羽室長って呼ぶ人、初めて聞いたな。蒼生さんでいいんじゃない? みんなそう呼んでるし」
「え? そうなんですか?」
他の社員が蒼生に声をかけているところを見たことがない陽菜美は、キョトンとした顔を上げる。
「そう。だってほら、蒼生ってOTOWAホールディングスの社長の息子だしね」
杉橋の声に陽菜美は「え!?」と思わず声を出した。
経営者の親族だろうとは思っていたが、まさか親会社の息子だとは思ってもみなかった。
――つまり……今流行りの御曹司ってこと!?
陽菜美は今までの自分の言動がよみがえり、思わず白目をむく。
するとその瞬間、バランスを崩した陽菜美は、ソファにドサッと倒れ込んでしまった。
ゴチンという鈍い音と一緒に、頭に鈍痛が響く。
「きゃっ、あ痛たたぁ……」
倒れた弾みで、ソファのひじ掛けに頭をぶつけたらしい陽菜美は、顔を歪めながら頭に手をやった。
陽菜美がやや棒読みで答えると、杉橋はくすりと笑いながら顔を覗き込ませた。
「音羽室長って呼ぶ人、初めて聞いたな。蒼生さんでいいんじゃない? みんなそう呼んでるし」
「え? そうなんですか?」
他の社員が蒼生に声をかけているところを見たことがない陽菜美は、キョトンとした顔を上げる。
「そう。だってほら、蒼生ってOTOWAホールディングスの社長の息子だしね」
杉橋の声に陽菜美は「え!?」と思わず声を出した。
経営者の親族だろうとは思っていたが、まさか親会社の息子だとは思ってもみなかった。
――つまり……今流行りの御曹司ってこと!?
陽菜美は今までの自分の言動がよみがえり、思わず白目をむく。
するとその瞬間、バランスを崩した陽菜美は、ソファにドサッと倒れ込んでしまった。
ゴチンという鈍い音と一緒に、頭に鈍痛が響く。
「きゃっ、あ痛たたぁ……」
倒れた弾みで、ソファのひじ掛けに頭をぶつけたらしい陽菜美は、顔を歪めながら頭に手をやった。