キスはボルドーに染めて
 OTOWAグループは、親会社であるOTOWAホールディングスを筆頭に、OTOWine株式会社の他に子会社が二社ある。

 酒類の輸入販売を行う音羽商事(おとわしょうじ)株式会社と、カタログ通販専門店のOTOMall(オトモール)株式会社だ。


「カタログ通販……?」

 陽菜美は小さく瞳を開くと、OTOMall(オトモール)のWEBサイトを開く。

 サイトのトップ画面に表示されたのは、取り扱っているカタログの一覧だ。

 その種類は数十種にもおよび、衣類や食料品、アウトドア用品に至るまで、様々なシーン別に使い分けができるようになっている。

 今流行りの体験型商品の専用カタログもあった。


 陽菜美はグルメカタログをクリックして、ワインのページを開く。

 当然のことながら、そのページには“OTOWine厳選の名品”として、商品がいくつか掲載してあった。

 陽菜美はさらにパソコンに前のめりになると、カタログの一覧をじっくりと目で追っていく。

 するとその中で一つ、陽菜美の目にとまるカタログがあった。

 カタログを見ながら、陽菜美の瞼にあのシャトーの葡萄畑が浮かぶ。

「もしかしたら……」

 陽菜美はしばらく考え込んでいたが「よし!」と顔を上げると、走って部屋を飛び出して行った。
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