もう一人の私に出会った夏
見ると伊万里は、涙を浮かべている。

「もういいよ……本当のことだもん……」

佳は伊万里の側に行った。

「いくらなんでも、言っていい事と、悪い事があるよ。」

そう言って伊万里に、プールから上がろうと誘った。

「ちょっと…」

佳は話しかける千歳の脇を通り過ぎる。

「勝手なことしないでよ。」

佳は千歳をじろっと睨んだ。

「何も分かってないんだね、千歳は。」

「え?」

他のメンバーも、佳たちと一緒に、どこかへ行ってしまった。

「もう!何なのよ!」

千歳はスイミングキャップを、強く握りしめた。


それからの練習は、もっと悲惨だった。

「みんな、リレーの練習しようよ。」

千歳はメンバーに声を掛けたが、誰も返事をしない。

「どうしたの?みんな。」

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