もう一人の私に出会った夏
緋呂は頷いた。

「なゐの神という方だ。」

「なゐの神?」

千早は初めて聞く名前だった。

「普段は鹿嶋神社の要石で、その力は抑えられているはず。こう何度も大きな地震が起こるなんて、なゐの神に何かあったとしか思えない。」

緋呂は目をつぶった。

「何してんだ?緋呂。」

「声を聞いてるんだ。」

「声?」

「地震と火の精霊は、無関係じゃない。何か、聞こえるはずだ。」

千早と水希、風羽はじっと待っていた。

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