もう一人の私に出会った夏
純太は庭の奥に入って行った。

「純太、あまり奥まで行くなよ!」

「は~い!」

走って行く純太を見送って、父は縁側に戻ってきた。

「元気、有り余ってんな~。あいつ。」

幸太も縁側に来た。

「幸太も小学生の時は、あんな感じだったぞ。」

「え~!」

幸太は口を尖らせて、父の隣に座った。


「ところで千歳は?」

幸太は振り返って、台所にいる母に聞いた。

「二階じゃない?」

「また?あんな怖い思いして、よく一人で二階にいられんな。」

父は幸太の肩に、手を置いた。

「なあ、ちい。」

「なあに?宗ちゃん。」

「千歳は最近、何かで悩んでるのか?」

母が、台所から顔を出した。

「最近っていうか、夏休みが始まったぐらいから、あんな感じよ。」

「幸太、千歳になんか言ったか?」

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