もう一人の私に出会った夏
それが父親である、宗太の実家だった。

と言っても、一人住んでいた祖母も3年前に他界し、誰も住んでいない空き家だった。

「すっごい田舎……」

都会生まれの都会育ちである千歳は、三日間でもこんな場所に住むのは気が引けた。

祖母が生きていた頃に遊びに来たのは、小学校に上がった頃が最後。

それからは、習っていたスイミングを理由にして、来なかった。

祖母が亡くなった時にお通夜とお葬式で、一泊だけしたが、父親の兄である宗也叔父さんの家に泊まったからよかった。


トイレきれいかな。

お風呂に、シャワーあったっけ。

ベッドじゃなくて、布団敷いて寝るのか。

テレビ、見たい番組映るかな。

千歳は、そんな事ばかり考えていた。

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