もう一人の私に出会った夏
その頃、別な場所ではサアーっと、気持ちいい風が吹いた。

「風羽《フウ》か……」

緋呂《ヒロ》が問いかけると、隣に風羽が座っていた。

「緋呂はなんでもお見通しだね。」

風羽は頬杖をついた。


その時だった。

大地が揺れるのを感じた。

かなり大きい。


「緋呂!」

「大丈夫だよ、風羽。」

やがて大地の揺れはおさまった。

「大きかったね。」

「うん……なんの被害もないといいだけど。」

緋呂は遠くの街を眺めた

「また一段と、大きな地震だったな。」

いつの間にか、水希《ミズキ》も隣にいた

「この前、大きなのが来たばかりなのに。」

水希も心配そうだ

「今度また、大きな揺れが来たら、俺の力でも水害は防げないぜ。」

「ああ…」

緋呂は尚も遠くの街を見続けた。

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