もう一人の私に出会った夏
「さあ、着いたぞ。」

父は広い庭の隅に、車を停めた。

エンジンを切ったと同時に、純太が一番に降りる。

「純太、危ないだろ!」

幸太が叫ぶ。

「お兄ちゃんたちが遅いからだよ。」

純太が舌を出した。

「言ったな!」

幸太は車を降りて、純太を追いかけた。

「幸太!」

父が大きな声を出した。


「自分の荷物は自分で持て。」

「は~い。」

純太を睨みながら、幸太は車に戻ってきた。

「千歳、俺の荷物取って。」

「ヤダよ。お兄ちゃんの荷物、重いもん。」

「役に立たね~」

「お兄ちゃんの荷物、持つ為にいるんじゃないんだから。」

千歳は自分の荷物を持って、車から離れた

「機嫌悪いなあ。あの日なのかよ。」

千歳は真っ赤になって、幸太に荷物をぶつけた。

「いって~!何すんだよ!」

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