スターリーキューピッド
ガバッと大胆に抱きつかれた。ドキドキしながらも自分も背中に手を回す。

……大きくなったなぁ。昔は私よりも小柄で華奢だったのに。今は座ってるから目線の高さは変わらないけど、立ってたらすっぽり包まれるんだろうな。

成長を実感していたら、住宅街に子どものはしゃぐ声が響き渡った。


「帰るか。暑いし」

「そうだね」


身体を離して立ち上がり、公園を出る。


「家族にはいつ話す?」

「2学期入ってからでいいんじゃない? すぐ言うと根掘り葉掘り聞かれそうだし」


そう答えつつも、身体はピタリと密着。

さりげなく手の甲をくっつけたら……。


「でも、友清くんにはなるべく早く報告しないとね」

「だな。背中押してもらったし。明日にする?」

「明日は、まだ心の準備が……」

「冗談だよ」


明吾はイタズラっぽく笑うと、私の手を包み込むようにつないできた。


この数年間、たった1つの情報に振り回された私たち。

これから先も、嘘か本当かわからない情報にたくさん出くわすだろう。

けど、私たちの未来は、不確かな情報1つで決められるほど、安易なものじゃない。

だって未来は──運命は、自分の手でいくらでも切り拓いていけるものなのだから。


END
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