スターリーキューピッド
……はい? ニンゲン、ジャナイ?


「本当は、スイセイから来たスイセイ人なんです」

「……水金地火木土天海の、水星のこと?」

「はい。公園のは火星、学校のは僕と金星が着地した時の衝撃でできたもので……」


必死に説明しているけれど、内容がぶっ飛びすぎてて全然頭に入ってこない。


「信じがたいかもしれないけど……」

「……」


うん、信じられない。だって、自分は宇宙人だと言ってるようなものでしょ?

ここで叫んでお巡りさんを呼ぼうか。

でも、彼は今、絶体絶命の状態。一歩間違えたら人生が終了するかもしれない危機的状況に置かれている。

ふざける余裕なんて、1ミリもないはず──。


「そうでしたか。すみません、私、用事を思い出したので先に帰りますね」


空気を壊さないよう、にこやかに頭を下げて、後ろに方向転換。

自分なりに情報を整理してみたけれど……ダメだ、真面目に考えれば考えるほど、何がなんだかわからなくなる。ここはひとまず、本能に従おう。

嘘バレバレの理由を言い残し、1度も振り返らず走り去った。
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