スターリーキューピッド
1冊抜き取り、ページをめくりながら椅子に座る。

北斗七星や夏の大三角形みたいに、12星座以外の星座も知ってはいたけれど……80種類以上もあるのか。今の季節は何が見えるのかな?


「お勉強ですか?」


聞き慣れた声がして顔を上げると、友清くんが私を見て微笑んでいた。


「勉強ってほどでは……。気になったから手に取ったみただけ」

「なんだ。てっきり趣味を満喫してるのかと」


私の向かい側に座り、持参した本を読み始めた。


『へぇ〜。デートか。仲いいんだね』

『え、付き合ってないの?』


階段で鉢合わせて以来、彼とは少し距離を置いている。

授業中は黒板とノートをガン見して。休み時間は廊下に出たり、トイレに行ったり。話しかけられないよう、毎時間席を外していた。

挨拶はしてたけど、避けられてるって気づかれちゃったかな……。

というか、星座が好きって、私言ったっけ?


チラッと目を動かして、様子をうかがう。

水泳雑誌か。体育の授業でもバレー部2人と共に大活躍してたもんね。プール開きに向けて特訓でもするのかな。
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