スターリーキューピッド
「えっ。アウトって……」

「最近の若者はってところです」

「今の時代じゃハラスメント扱いになっちゃうんだよ〜……って、美月ちゃん!? どうしたの!?」

「すみませ……っ。なんか、ホッとしちゃって……」


溢れ出した涙を指先で拭う。

呼吸が落ち着くまで、愛香さんに背中を擦ってもらったのだった。






「──お騒がせしてしまってすみませんでした」

「ううん。その涙は、悲しみから来てるわけではないんだね?」

「はい。安心の涙です」


帰りの車内にて。いきなり泣いてしまったことを、再度彼らに謝った。


「私、感情が高ぶると、口調が強くなるところがあって。それで昔、同級生と衝突したことがあったんです」


新たな誤解を招かないよう、理由を答えるとともに、封印していた過去の蓋を開けた。
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