スターリーキューピッド
友清くんが口にしていた通り、私は、内気で怖がりな性格とは裏腹に、ハッキリと物を言う一面を持っている。


例えば、自分より大きい犬に遭遇した時。

たとえ親と一緒でも、『絶対こっちから帰る!』と言い張って、迂回して帰宅したり。

お化け屋敷やホラー映画も当然NG。誘おうものなら断末魔の叫び声を上げて抵抗する。

両親いわく、赤ちゃんの頃から手を焼いていたらしいけれど、珠夏が生まれてからは徐々に落ち着いていって。

小学校に入る頃には、大声で騒いだりすることはなくなり、両親は一安心したそう。


だけど──。


「小学生の時、明吾と付き合っていると、噂を流されたんです」


小学5年生の頃。クラスメイトの男子に尋ねられたのがはじまり。

私は当時から既に想いを寄せていたが、付き合ってはなかったので否定した。

けれど、納得しなかったのか、2人でいるところを見られては、『おしどり夫婦』『真中 美月』といじられるようになった。


「毎日毎日、事あるごとに言われて。否定すればするほど逆に悪化して。それで……我慢できなくて──」
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