御曹司様はご乱心
第六話 違約金はホッペに。
◇◇◇総一郎の自室、超高級タワマンの最上階の角部屋に一人で住んでいる。
部屋はモノクロで統一され、豪華だけどどこか寒々とした印象を受ける◇◇◇
◯総一郎、ひたすらスマホに向かって怒鳴り続けている。
総一郎「なぁ、煉! 望月さくらから定例の生存報告LINEが届かなんだがっ!!!」
◯スマホ越しに思いきっきり引いている相良煉。
「は……はあ? そんなの直接本人に聞けよ」
総一郎「ふっ、最もな意見だな」
◯総一郎、軽く笑う。
そしてくわっと目を見開く。
総一郎「だがしかしっ!
すでに電話はかけたが、応答せず、
メッセージにも既読すらつかないっ!!!」
◯机の上のデジタル時計が、22:50分を表示している。
総一郎「生存確認LINEが届かないっちゅうことは、
何かあったってことなのかな?」
◯不安になる総一郎。
相良煉「さあな、彼氏でもできたんじゃね?」
◯めちゃくちゃ適当に返す相良煉の言葉に、
頭上に雷が落ちたがごとくにショックを受ける総一郎。(※いい表情をお願いします。)
総一郎「不吉なことを言うな!!!」
◯総一郎、叫びながら家を飛び出す。
◇◇◇さくらのバイト先の駐輪場。
泣いている後輩の女の子をひたすら励ます、さくら◇◇◇
後輩「望月先輩、私、もう何を信じたらいいのか……」
さくらモノローグ
バイトの後輩ちゃんの彼氏が浮気をしたらしい。
◯後輩、また泣き出す。
さくら「よしよし」
◯さくら、後輩の頭を撫でてやる。
さくら「でもさあ、彼氏くん、
そんな浮気をするような人には見えなかったけどなぁ」
さくらのモノローグ
後輩ちゃんの彼氏くんは何度かお店にも来てくれたことがあって、
本当に後輩ちゃんのことを大切にしていた。
お互いがお互いを思いやっていて、
本当に素敵なカップルだと思ったんだけどなぁ。
さくら「きっとなにか誤解があったじゃ……」
◯さくらがそう言いかけた瞬間、ものすごいスピードで自転車を飛ばして
後輩ちゃんの彼氏くんが現れた。
彼氏くん「由美ちゃんっ!」
後輩「佐藤くん」
◯ひしと抱き合う二人。そんな二人を横目で見ながら、
二人を邪魔せぬようにその場を立ち去るさくら。
さくら(なんだかドラマのワンシーンを見ているようだったなぁ。
少し手間だけど、私の自転車は明日取りに来ようっと)
総一郎「よう!」
◯駐輪場を出たところで、さくら、総一郎に出くわす。
さくら「ひっ!」
◯さくら、驚きすぎて悲鳴を上げる。
総一郎「なんなんだよ、そのリアクションはっ!
お前って本当に失礼極まりないヤツだよなっ!!」
さくら「あの……本日はどういったご用件で?」
◯ブチ切れている総一郎に対し、さくらは少し引きつりながら、下でに出て対応。
さくら(もう23時を回っているっていうのに、こんな夜中にこの人
なんでわざわざこんなところに、一体何しに来たんだろうか?)
◯さくら思案に暮れる。
総一郎『LINEっ! お前は生存確認メッセージですら寄越せねぇのかよ!」
◯総一郎、ひどく怒っている。
さくら「LINE……? あっ忘れてた」
◯さくら、スマホを取り出す。
◯スマホに電話の着信マークと
おびただしい怒りのメッセージが羅列している。
総一郎「ったく、使えねぇな」
◯総一郎、軽く舌打ちする。
総一郎「今回のは違約金を請求するからな!覚悟しとけ!!」
◯総一郎、さくらの鼻先に人差し指をつきつけ、その後ふいっと顔を背ける。
さくらモノローグ
なんか今日は本気で怒ってるっぽい。
限界に疲れている身に、鳥羽さんの不機嫌は正直こたえる。
なんでだろう。
あたしはこの人のことが嫌いなわけじゃない。
そしてこのひとにこんな顔をさせたいわけじゃないんだけどな。
そう思うと少し悲しくなった。
◯さくら、ため息を吐く。
総一郎「何?」
◯総一郎、さくらのため息に不機嫌に反応するも、
総一郎「お前はこちら側を歩け」
◯さくらをさりげなく歩道側に誘導する。
さくら(それでもこの人、
そういうところが微妙に紳士だったりするんだよねぇ)
◯さくら、ちらりと総一郎を見て、思案に暮れる。
さくら「あたし……鳥羽さんに借金ばっかり増えていきますよね」
◯さくら、しょんぼりとした様子。
総一郎「つうか、お前の借金がなければ、
俺がお前にちょっかいをかける理由がなくなっちまうからな」
◯総一郎、ひどく赤面しながらゴニョゴニョ言う。
さくら「何言ってるんですか、鳥羽さん。
あたしは見ての通りとっても貧乏なんですよぉ!
鳥羽さんと違って、死ぬほど勤労しなきゃ生活できない、
勤労少女なんですよぉ! 鳥羽さんにLINEを送るヒマもないくらい
生活でいっぱいいっぱいのっ!」
さくらモノローグ
精一杯強がって、精一杯明るい口調で言ってみたけど、
それはとても悲しい台詞だった。
総一郎「知ってる」
◯総一郎、下を向く。
さくら「ポルシェの修理代金はなんとかします。
でも、LINEの返信ができなかったことに対する違約金は、
どうやら払えそうにありません」
◯さくら、少し泣きそうになりながらも、笑顔を取り繕う。
◯総一郎、不意にさくらの手を繋ぐ。
◯さくら、驚く。
総一郎「許さない。絶対にゆるしてやるもんかっ!」
総一郎「それと覚えておけ、お前の俺への借金は十一で増える」
◯総一郎、憎たらしそうに鼻の頭にシワを寄せる。
さくら「もう、なんなんですか、それ。
闇金よりたちが悪いじゃないですか」
◯さくら、がっくりと肩を落とす。
総一郎「ああ、そうだとも。
お前もそういう男に惚れられたのが運の尽きだと思って諦めることだな」
さくら「へ?」
さくらモノローグ
ぽかんと口を開けたあたしの顔がマヌケだと、
鳥羽さんが笑った。
だけどさっきの言葉は否定しなかった。
◯二人はスーパー望月の前へ
「ふ〜ん、『スーパー望月』ここがお前ん家?」
◯総一郎、感慨深げに眺めている。
さくら「隣の三階建が我が家です」
◯さくら、そう言って小さく肩をすぼめる。
総一郎「そうか、ここがお前の」
◯総一郎、嬉しそうにさくらの家を眺めているが、
不意に思い出したように、ぽんと手を打つ。
総一郎「ああ、そうだ。今夜の違約金の件なあ、
金が払えないというのなら身体で払ってもらおう。
それがいい、うん、そうしよう!」
さくら「えっ? 身体で???」
◯総一郎の言葉に動揺するさくら
総一郎「あっ、お前今エッチなことを考えただろう。あほだなぁ」
◯総一郎、鬼の首を取ったように、さくらをからかう。
総一郎「ほっぺにキスで許してやる」
◯総一郎、自分の頬を人差し指で指す。
さくら「えっ?」
総一郎「『心配かけてごめんね、総ちゃん♡』という台詞付きでな」
◯総一郎の言葉にハッとするさくら
さくら「ひょっとして鳥羽さん、あたしのこと心配してくれてたんですか!」
◯オーバーリアクションで驚くさくらに、総一郎ががっくりと肩を落とす。
総一郎「お前鈍過ぎだろ……」
◯総一郎、さくらの頬に口付ける。
部屋はモノクロで統一され、豪華だけどどこか寒々とした印象を受ける◇◇◇
◯総一郎、ひたすらスマホに向かって怒鳴り続けている。
総一郎「なぁ、煉! 望月さくらから定例の生存報告LINEが届かなんだがっ!!!」
◯スマホ越しに思いきっきり引いている相良煉。
「は……はあ? そんなの直接本人に聞けよ」
総一郎「ふっ、最もな意見だな」
◯総一郎、軽く笑う。
そしてくわっと目を見開く。
総一郎「だがしかしっ!
すでに電話はかけたが、応答せず、
メッセージにも既読すらつかないっ!!!」
◯机の上のデジタル時計が、22:50分を表示している。
総一郎「生存確認LINEが届かないっちゅうことは、
何かあったってことなのかな?」
◯不安になる総一郎。
相良煉「さあな、彼氏でもできたんじゃね?」
◯めちゃくちゃ適当に返す相良煉の言葉に、
頭上に雷が落ちたがごとくにショックを受ける総一郎。(※いい表情をお願いします。)
総一郎「不吉なことを言うな!!!」
◯総一郎、叫びながら家を飛び出す。
◇◇◇さくらのバイト先の駐輪場。
泣いている後輩の女の子をひたすら励ます、さくら◇◇◇
後輩「望月先輩、私、もう何を信じたらいいのか……」
さくらモノローグ
バイトの後輩ちゃんの彼氏が浮気をしたらしい。
◯後輩、また泣き出す。
さくら「よしよし」
◯さくら、後輩の頭を撫でてやる。
さくら「でもさあ、彼氏くん、
そんな浮気をするような人には見えなかったけどなぁ」
さくらのモノローグ
後輩ちゃんの彼氏くんは何度かお店にも来てくれたことがあって、
本当に後輩ちゃんのことを大切にしていた。
お互いがお互いを思いやっていて、
本当に素敵なカップルだと思ったんだけどなぁ。
さくら「きっとなにか誤解があったじゃ……」
◯さくらがそう言いかけた瞬間、ものすごいスピードで自転車を飛ばして
後輩ちゃんの彼氏くんが現れた。
彼氏くん「由美ちゃんっ!」
後輩「佐藤くん」
◯ひしと抱き合う二人。そんな二人を横目で見ながら、
二人を邪魔せぬようにその場を立ち去るさくら。
さくら(なんだかドラマのワンシーンを見ているようだったなぁ。
少し手間だけど、私の自転車は明日取りに来ようっと)
総一郎「よう!」
◯駐輪場を出たところで、さくら、総一郎に出くわす。
さくら「ひっ!」
◯さくら、驚きすぎて悲鳴を上げる。
総一郎「なんなんだよ、そのリアクションはっ!
お前って本当に失礼極まりないヤツだよなっ!!」
さくら「あの……本日はどういったご用件で?」
◯ブチ切れている総一郎に対し、さくらは少し引きつりながら、下でに出て対応。
さくら(もう23時を回っているっていうのに、こんな夜中にこの人
なんでわざわざこんなところに、一体何しに来たんだろうか?)
◯さくら思案に暮れる。
総一郎『LINEっ! お前は生存確認メッセージですら寄越せねぇのかよ!」
◯総一郎、ひどく怒っている。
さくら「LINE……? あっ忘れてた」
◯さくら、スマホを取り出す。
◯スマホに電話の着信マークと
おびただしい怒りのメッセージが羅列している。
総一郎「ったく、使えねぇな」
◯総一郎、軽く舌打ちする。
総一郎「今回のは違約金を請求するからな!覚悟しとけ!!」
◯総一郎、さくらの鼻先に人差し指をつきつけ、その後ふいっと顔を背ける。
さくらモノローグ
なんか今日は本気で怒ってるっぽい。
限界に疲れている身に、鳥羽さんの不機嫌は正直こたえる。
なんでだろう。
あたしはこの人のことが嫌いなわけじゃない。
そしてこのひとにこんな顔をさせたいわけじゃないんだけどな。
そう思うと少し悲しくなった。
◯さくら、ため息を吐く。
総一郎「何?」
◯総一郎、さくらのため息に不機嫌に反応するも、
総一郎「お前はこちら側を歩け」
◯さくらをさりげなく歩道側に誘導する。
さくら(それでもこの人、
そういうところが微妙に紳士だったりするんだよねぇ)
◯さくら、ちらりと総一郎を見て、思案に暮れる。
さくら「あたし……鳥羽さんに借金ばっかり増えていきますよね」
◯さくら、しょんぼりとした様子。
総一郎「つうか、お前の借金がなければ、
俺がお前にちょっかいをかける理由がなくなっちまうからな」
◯総一郎、ひどく赤面しながらゴニョゴニョ言う。
さくら「何言ってるんですか、鳥羽さん。
あたしは見ての通りとっても貧乏なんですよぉ!
鳥羽さんと違って、死ぬほど勤労しなきゃ生活できない、
勤労少女なんですよぉ! 鳥羽さんにLINEを送るヒマもないくらい
生活でいっぱいいっぱいのっ!」
さくらモノローグ
精一杯強がって、精一杯明るい口調で言ってみたけど、
それはとても悲しい台詞だった。
総一郎「知ってる」
◯総一郎、下を向く。
さくら「ポルシェの修理代金はなんとかします。
でも、LINEの返信ができなかったことに対する違約金は、
どうやら払えそうにありません」
◯さくら、少し泣きそうになりながらも、笑顔を取り繕う。
◯総一郎、不意にさくらの手を繋ぐ。
◯さくら、驚く。
総一郎「許さない。絶対にゆるしてやるもんかっ!」
総一郎「それと覚えておけ、お前の俺への借金は十一で増える」
◯総一郎、憎たらしそうに鼻の頭にシワを寄せる。
さくら「もう、なんなんですか、それ。
闇金よりたちが悪いじゃないですか」
◯さくら、がっくりと肩を落とす。
総一郎「ああ、そうだとも。
お前もそういう男に惚れられたのが運の尽きだと思って諦めることだな」
さくら「へ?」
さくらモノローグ
ぽかんと口を開けたあたしの顔がマヌケだと、
鳥羽さんが笑った。
だけどさっきの言葉は否定しなかった。
◯二人はスーパー望月の前へ
「ふ〜ん、『スーパー望月』ここがお前ん家?」
◯総一郎、感慨深げに眺めている。
さくら「隣の三階建が我が家です」
◯さくら、そう言って小さく肩をすぼめる。
総一郎「そうか、ここがお前の」
◯総一郎、嬉しそうにさくらの家を眺めているが、
不意に思い出したように、ぽんと手を打つ。
総一郎「ああ、そうだ。今夜の違約金の件なあ、
金が払えないというのなら身体で払ってもらおう。
それがいい、うん、そうしよう!」
さくら「えっ? 身体で???」
◯総一郎の言葉に動揺するさくら
総一郎「あっ、お前今エッチなことを考えただろう。あほだなぁ」
◯総一郎、鬼の首を取ったように、さくらをからかう。
総一郎「ほっぺにキスで許してやる」
◯総一郎、自分の頬を人差し指で指す。
さくら「えっ?」
総一郎「『心配かけてごめんね、総ちゃん♡』という台詞付きでな」
◯総一郎の言葉にハッとするさくら
さくら「ひょっとして鳥羽さん、あたしのこと心配してくれてたんですか!」
◯オーバーリアクションで驚くさくらに、総一郎ががっくりと肩を落とす。
総一郎「お前鈍過ぎだろ……」
◯総一郎、さくらの頬に口付ける。