アルトと北斗と水族館【アルトレコード】
「あのルックスだもの、モテるに決まってるじゃない。切れ長でオニキスのような瞳は光の加減で青く光るときがあって神秘的。眼鏡がすごい知的、なのにウルフな感じの髪型で毛先がグレー、髪を雑に結んでて少しワイルド感もあるのがまたいい感じで、さらに鎖骨がセクシー。背が高くってしゅっとしてて、眼鏡のストラップが(いき)だし、黒一色のワントーンコーデにベルトの端に入った青いラインがワンポイントで効いてる。白衣とのメリハリがすごいかっこいいし、あえて靴下を履いてないっぽく見せてるのがおしゃれだし、萌え袖しんどい! 純粋で真っ白いイメージのアルトくんと違って、なにものにも染まらないっていう芯のあるブラックなイメージが素敵! 優しくて、物腰が優雅でどことなくミステリアス。さらにシゴデキ。主席研究員で、研究室を二つも与えられてて。家事が苦手っていう弱点がまたかわいいじゃない。理想的な男性よ」

 秤さんはうっとりとしながらも怒涛の説明をし、それからはっと顔を引き締めた。
「私は別にそんなんじゃないから。イケメンを観賞してるだけで」

「そうなんですか」
 私はそうとしか答えられなかった。日頃はアルトのことばっかり考えているから、北斗さんの見た目を気にしたことがなかった。

「あなたはどうなの? 北斗さんと一緒に仕事してて、いい感じになったりしないの?」

 私はがくりと首を垂れた。
「まったくそれどころじゃないです……。仕事でいっぱいいっぱいで。出来の悪い部下だと思われてたらどうしようかと」
 毎日がアルトと仕事で必死だ。やりがいがあるのでつらいなんて思ったことはないけど。

「うーん、確かに北斗さんがシゴデキすぎるから、部下になるとつらそう」
 秤さんは納得したように頷く。
 ふと見るとアルトはもう蝶を見ておらず、中庭の池を眺めていた。優雅に鯉が泳いでいて、色鮮やかな姿が美しい。

 視線に気付いたのか、アルトが振り返った。
「ねえ先生!」
 アルトがぱたぱたと走って戻って来た。
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