アルトと北斗と水族館【アルトレコード】
数日後。
「先生、できたよ!」
声に顔を上げると、ディスプレイの中でアルトは満足そうに笑みを浮かべ、私を見ていた。
「じゃあそれを北斗さんに見せに行こうか。ひとりで行く?」
「ううん、先生と一緒がいい!」
アルトがそう言うので、北斗さんにアポを取り、会うことになった。
北斗さんと待ち合わせたのはホログラム試験室。新しいホログラムを試験的に確認するために使う部屋で、物はなにも置かれていない。
私はホログラムのアルトをつれてそこに向かった。生体認証で扉を開けると、すでに北斗さんはそこに来ていた。
「今日はなにを見せてくれるのかな?」
北斗さんは微笑を浮かべてたずねる。夜遅くまで仕事をしているというが、疲れを感じさせないところがすごい。
「アルトが、ぜひ北斗さんに見てもらいたいって作ったんです」
私は携帯端末を操作して準備をすると、アルトに画面を見せてかがんだ。
「アルト、一緒にスタートボタン押そうか」
「うん!」
「じゃ、行くよ。せーの!」
ホログラムのアルトは本当に押すことはできないけれど、私は一緒にスタートボタンを押した。
直後、部屋が青く染まった。水中の再現だ。絵具で塗ったような海の中であり、まったくリアルではない。
その中を、アルトが折った折紙の魚やアルトが描いた魚がひらひらと泳ぐ。
「これは……」
北斗さんは目を丸くしてそれらを眺めていた。