婚前一夜でクールな御曹司の独占欲に火がついて~旦那様は熱情愛で政略妻を逃がさない~
「……話が早くて助かります。俺はこういう人間ですから、一般的な普通の夫らしさは期待しないでいただければと。では今後、よろしくお願いします」
「承知しました。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
互いにこれが仕事のような口調で、頭を下げ合う。
――きっと自分はいつか祖父の選んだ女性と結婚するのだろうと、漠然と思ってきた。
数多の機会はあれど、明季がずっと特定の相手を作らなかったのも、そのためだ。そもそも、明季自身が添い遂げたいと思うような相手と出会わなかったというのもあるけれど。
それで、構わなかった。愛のない結婚で、冷えきった夫婦関係であろうとも、もともと淡白な性格の自分には合っている。最低限、子どもさえ作れば、祖父の期待を裏切ることもないはずだ。
短いやり取りの中での所感だが、どうやら目の前の彼女も、明季と近しい感覚の持ち主なのではないかと思う。この調子なら、思っていた以上に彼女との結婚生活は過ごしやすいかもしれない。
そんなことを考えながら席を立ちかけた明季は、すっと右手を挙手した蘭によって引き止められる。
「あの、副社長。この機会にお話ししておきたいことがあるのですが」
「なんですか?」
一度浮かしかけた腰を再び椅子に落ち着かせ、明季は先を促した。
蘭は変わらぬ静かな表情のまま、滔々と語る。
「私は花城家本家の長女として生まれ、幼い頃から清廉潔白に過ごしてきました。家の恥とならないよう外では常に気を張って、学生時代は勉強ばかりして、だから友達も多くはなかったし、夜遊びみたいなことは以てのほかで」
「承知しました。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
互いにこれが仕事のような口調で、頭を下げ合う。
――きっと自分はいつか祖父の選んだ女性と結婚するのだろうと、漠然と思ってきた。
数多の機会はあれど、明季がずっと特定の相手を作らなかったのも、そのためだ。そもそも、明季自身が添い遂げたいと思うような相手と出会わなかったというのもあるけれど。
それで、構わなかった。愛のない結婚で、冷えきった夫婦関係であろうとも、もともと淡白な性格の自分には合っている。最低限、子どもさえ作れば、祖父の期待を裏切ることもないはずだ。
短いやり取りの中での所感だが、どうやら目の前の彼女も、明季と近しい感覚の持ち主なのではないかと思う。この調子なら、思っていた以上に彼女との結婚生活は過ごしやすいかもしれない。
そんなことを考えながら席を立ちかけた明季は、すっと右手を挙手した蘭によって引き止められる。
「あの、副社長。この機会にお話ししておきたいことがあるのですが」
「なんですか?」
一度浮かしかけた腰を再び椅子に落ち着かせ、明季は先を促した。
蘭は変わらぬ静かな表情のまま、滔々と語る。
「私は花城家本家の長女として生まれ、幼い頃から清廉潔白に過ごしてきました。家の恥とならないよう外では常に気を張って、学生時代は勉強ばかりして、だから友達も多くはなかったし、夜遊びみたいなことは以てのほかで」