婚前一夜でクールな御曹司の独占欲に火がついて~旦那様は熱情愛で政略妻を逃がさない~
家のために望まない相手と結婚させられる女性の、いじらしい願いだ。それくらい、叶えてやってもいいのではと思う。
しかも別に、この彼女の願いは、明季や御門家に害を及ぼすものでもない。少し考えただけで、心は決まっていた。
「わかりました」
うつむいていた蘭が、パッと顔を上げた。
視線が合って、明季はうなずく。
「そうと決まれば、なるべく早めに。日時や場所はこちらで整えてお伝えします」
ジャケットから名刺とペンを取り出し、裏側にさらさらと書き込む。
「プライベート用のスマホの番号と、メッセージアプリのIDです。こちらに、あなたの分も書いていただけますか?」
「あ、はい」
もう一枚名刺を裏返したものとペンを差し出すと、戸惑いながらも蘭が記入する。
綺麗な文字だな、と思って眺めていたら、彼女が顔を上げて目が合った。
「書けました」
「ありがとうございます。では、後ほど連絡しますので」
「……はい」
なんだかぼうっとして明季の名刺を両手で持っている蘭に、ふ、とかすかに口もとが緩んだ。
人形みたいな顔で自分と似た無表情、大人しそうに見えてしっかりと発言するし、かと思えば突飛な提案をしてきたり――単なる政略結婚相手でしかなかった女性は、思っていた以上におもしろい人間なのかもしれない。
自分でも予想外なほど目の前の人物に興味を引かれているのを自覚しながら、明季は部屋を出たのだった。
しかも別に、この彼女の願いは、明季や御門家に害を及ぼすものでもない。少し考えただけで、心は決まっていた。
「わかりました」
うつむいていた蘭が、パッと顔を上げた。
視線が合って、明季はうなずく。
「そうと決まれば、なるべく早めに。日時や場所はこちらで整えてお伝えします」
ジャケットから名刺とペンを取り出し、裏側にさらさらと書き込む。
「プライベート用のスマホの番号と、メッセージアプリのIDです。こちらに、あなたの分も書いていただけますか?」
「あ、はい」
もう一枚名刺を裏返したものとペンを差し出すと、戸惑いながらも蘭が記入する。
綺麗な文字だな、と思って眺めていたら、彼女が顔を上げて目が合った。
「書けました」
「ありがとうございます。では、後ほど連絡しますので」
「……はい」
なんだかぼうっとして明季の名刺を両手で持っている蘭に、ふ、とかすかに口もとが緩んだ。
人形みたいな顔で自分と似た無表情、大人しそうに見えてしっかりと発言するし、かと思えば突飛な提案をしてきたり――単なる政略結婚相手でしかなかった女性は、思っていた以上におもしろい人間なのかもしれない。
自分でも予想外なほど目の前の人物に興味を引かれているのを自覚しながら、明季は部屋を出たのだった。