繋いだ手、結んだ指先で。
窓枠が縁のようになって、春の花の美しい景色を閉じ込める。
花びらが舞い落ちて、まるで動く絵画のような景色に、立ち尽くして息をのむ。
ふと、ベッドに身体を起こして窓の外を見る北条くんの姿が反射して見えた気がして、ばっと目を向けるけれど、そこには誰もいない。
空っぽのベッドサイドには、わたしがあげたハーバリウムが置いてあった。
「あれ、座ってよかったのに」
亜希さんがやってきて、見覚えのある花瓶をベッドサイドに置く。
さっき車で見た花を生けた花瓶。
花の位置を少し整えて、亜希さんはソファに座った。
「この部屋、しばらくはこのままにするつもりなんだ。庭も、今ある花が咲くうちは、このまま」
一人言のように呟いて、亜希さんはぼんやりと庭を眺めていた。
たわいのない話をしながら、淹れてもらったお茶もなくなる頃、亜希さんが立ち上がって机の方に向かう。
机周りも、わたしが来たときと変わらない。
写真と、寄せ書きが置かれていた。
机の引き出しを開けて真っ白な箱を取り出した亜希さんは、それを持って戻ってくる。
見覚えのない箱に首を傾げると、亜希さんはわたしの手に箱を置いた。
「理真から、結衣ちゃんに渡してって。これね、この部屋で渡してって頼まれてたから、家じゃなくてもいいって言いながら、外だと困るなって思ってたんだ」
「家じゃないと困るもの……?」
「多分、理真が見ていたこの景色と一緒に、見てほしかったんだと思うよ。桜とハナミズキの咲く頃に、ここに呼んでほしいって言っていたから」
亜希さんはわたしの手に箱があるのを見てほっとしたように微笑んで、部屋を出ていった。