繋いだ手、結んだ指先で。
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三瀬 結衣さんへ
まずは、謝らないといけないことがあります。
寄せ書きの返事を、いつか必ず渡すと言ったのに、直接渡すことは叶いませんでした。
言い訳になってしまうかもしれないけれど、この手紙と一緒に渡したかったから、あの手紙は渡さなかった。
もう二度と会えなくて、もう二度と伝えられないと思うと、言葉は溢れてくるのに何一つ文字にできなくて、この手紙を書いている今、結衣ちゃんと最後に会ってから1ヶ月が経ちます。
身体を起こすことができない日が続いたけれど、今日は何だかとても気分が良くて、今なら、心のままに書けると思う。
でも少しだけ、見栄を張ってかっこつけた文章になっていたら、そのときは笑ってください。
感謝や気持ちは、これまでに結衣ちゃんに伝えたことが、僕の全てです。
僕は、結衣ちゃんに本当にたくさんの力をもらって、生きてきました。
その力が足りなかったわけではなくて、現代医学の力が及ばなかったわけでもなくて、家族の支えが足りなかったわけでもなくて、何もかもが満ち足りていて、それでもどうにもならないことがあっただけの話だと思います。
中学生になって、僕が教室に行けなかった理由を、話したことがありました。
怖かった、それが一番の理由だけれど、僕はそれに打ち勝って、結衣ちゃんに会いに行くべきだった。
弱くて、情けなくて、立ち止まっていた僕に、会いに来てくれて、ありがとう。
何度伝えても、ここに書き残しても、足りない。
僕がいなくなったあとも、僕が結衣ちゃんを想うたびに、何か合図で伝えられたらいいのに。
思い出も、手のぬくもりも、僕の声も、いつかは結衣ちゃんの記憶の奥底に眠ると思う。
結衣ちゃんのこれからの日々が、明るく希望に満ちたものであるほど、僕との日々が薄れていくのだとしても、僕は結衣ちゃんが幸せであることを、一番に願います。
最後に、どうか。
繋いだ手、結んだ指先が
結衣ちゃんの力に、なりますように。
北条 理真
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