繋いだ手、結んだ指先で。


「北条くん、お姉さんが来たよ」


立川先生がカーテンを開けると、北条くんのお姉さんが一緒にいた。

ベッドの上で上体を起こした北条くんと、泣いているわたしを見て、お姉さんは目を見開く。


「理真? 結衣ちゃんに何したの」
「泣かせた」
「えっ!? ちょっと、何があったの」


わたしが勝手に泣いたのに、北条くんは黙ってベッドを下りてしまう。

立川先生から荷物を受け取り、お姉さんを置いて外に出て行った。


「ちょっと待ちなさい! ごめんね、結衣ちゃん。理真から話は聞くから」
「あ、待って、北条くんは何もしてないんです。わたしが……」
「それでも、泣いてたってことは理真が関係しているんでしょう? また今度話そう」


ひとりで先に行った北条くんを追いかけて、お姉さんもすぐにこの場を去って行く。

残されたわたしは立ち上がった椅子にもう一度座って、ベッドのシーツに顔を埋める。

あれだけ泣いたのに、まだ涙は出てくる。

もう拭いはせずに流れるままにしていると、立川先生がタオルと保冷剤を持ってきてくれた。


「……ありがとう、ございます」


鼻声を誤魔化さずにお礼を伝えると、立川先生はベッドに座ってシーツを整えながら言う。


「話してたこと、少し外にも聞こえてたよ。生徒は帰ったあとだから、聞いてたのは先生だけね。北条くんに言ったんだね」
「うん……北条くんも、言おうとしてたんだと思う」


北条くんはわたしがいたことを知らなかったけれど、立川先生はわたしがベッドで寝ていたことを把握していた。

だから、わたしがあの話を聞いてしまった後、誰だか気になる? と聞いてくれた上で、内緒にしてね、と話していたのだ。

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