繋いだ手、結んだ指先で。
今日はもうこれで終わってもいいくらいだと思いながら、時計を見るとまだあと20分はある。
答えてはくれないだろうけれど、だめ元で聞いてみることにした。
「北条理真くんとはどんな話をするんですか?」
「北条くん?」
わたしがこんなことを言い出すのが珍しいからか、カウンセラーの先生はそのまま聞き返してきた。
北条くん、ともう一度名前を打ち返すと、困った顔で言う。
「話した内容は教えられないよ」
「そうですよね」
「三瀬さんならわかってたよね。話したことは言えないけど、北条くんがここに話に来たのは3回だけだよ。4月の三瀬さんの前に話していたのが2度目だったから、そのあとに一度だけ」
守秘義務があるからか、本当にそれ以上の情報はくれない。
わたしも何かを聞けると期待していたわけではないから、落ち込みはしなかった。
そのまま、別の雑談に話が変わっていく。
梅雨が明けて7月になったらすぐに夏休みという話をしながら、今学期中にもう一度予約を入れるかどうかを決めることになり、次学期にすると断った。
かなり間が空くし、予定も決まっていないからと必要なら立川先生を通して改めて予約をすることになり、今日のカウンセリングは終了した。