繋いだ手、結んだ指先で。


お兄さんにしかない特徴をもう少し教えてもらって足しながら、頭の中で完成した像を北条くんにそのまま伝えられたらいいのに。

正解がわからないって、もやもやする。

そんなことを思って顔をしかめていると、北条くんはわたしが真面目に考えているのが面白かったのか、ぷっと吹き出してスマホの画面を見せてくれた。

そこには、亜希さんとお兄さんに挟まれて苦しそうに、でも満面の笑みを浮かべる北条くんの写真。


「か、かわいい」
「僕は見なくていいって」
「お兄さんはそっくりだよ。わたしの想像とはちょっと……結構違ったけど」


今より少し幼く見える北条くんは、まだ小学生のときの写真だと思う。

つい北条くんに目がいってしまったけれど、お兄さんのこともしっかりと確認する。


「仲がいいんだね」
「まあ、可愛がってもらってるよ」


ぶっきらぼうに言いながら、顔は少し照れているのがわかる。

表情で読み取れることも多くなったなあ、なんて嬉しくなりながら、時間もあまりないことを思い出す。


今日こそは聞きたいことがひとつだけある。

北条くんが今持っているスマホ、それこそが目的。


この間も結局聞くことができなかった連絡先を今日こそ、と口を開こうとしたとき、北条くんの方が先に切り出した。


「三瀬さん、南区であるお祭りは知ってる?」
「……えっと、今月の?」
「そう。河川敷に屋台の出るお祭り」


出鼻をくじかれて内心悔しく感じながらも、北条くんの言うお祭りには心当たりがあって頷く。

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