繋いだ手、結んだ指先で。


わたしにできることは、あまりにも少ない。

それが悔しくて、たまらない。


薄く唇を開いては、また引き結ぶことしかできないわたしに、北条くんは柔らかく微笑む。


「だから、最後に。お祭りに一緒に行きたい」


治療に向かう前の、最後にという意味なのはわかる。

でもその言葉がもっと深い意味を含んでいるように思えて。

そんな風に言わないでほしいって伝えたくて首を横に振る。


「だめかな、三瀬さん」
「だめじゃない。だめじゃない、けど」
「僕に、頑張るための力をください」


砕けた話し方だったのに、急に静かに、何かに祈るように囁かれて、断ることはできなかった。


ただ、とどうしても譲れない条件を伝える。


「お祭りは3日間あるけど、行くなら金曜日にしてほしい。もちろん、北条くんの都合が良ければだけど。それから、行く前でもお祭りの最中でも、具合が悪くなったらすぐに教えて」
「金曜日。わかった。それで大丈夫。体調のことも、ちゃんと言うよ」
「約束ね」


指切り、と差し出したものの、これは必要ないかと引っ込めかけたとき、北条くんの小指がさっと絡まった。

そのまま、指切りの歌に合わせて上下に揺すられて、最後にぱっと離れる。


「約束」


心底嬉しそうに繰り返す北条くんに、わたしの憂いは話せなかった。

金曜日なら、部活のある人は夕方以降になるだろうし、初日は花火の打ち上げ数も少ない。

土曜日や日曜日に行くよりは、鉢合わせを避けやすいと思う。


時間を決めるのに連絡先があった方がいいと理由をつけて聞こうとしたけれど、ちょうどお迎えの亜希さんが来たようで、この日はまた連絡先を聞けずに別れた。

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