繋いだ手、結んだ指先で。
◇
翌週、本当なら北条くんといつものように金曜日に会える予定だった。
それが、前日に亜希さんから電話があって、体調が優れないから登校できそうにないと聞いた。
そんなに深刻なことじゃないから、と電話口の亜希さんは落ち着いていたけれど、言葉に聞くだけではどうしても、安心しきれない。
かといって家に押しかけることもできず、心配な1週間を過ごした。
木曜日の夜、北条くんの体調を聞いておこうとスマホを手に取ると同時に、亜希さんから電話がかかってくる。
見計らったようなタイミングに驚いて、すぐに通話ボタンを押してしまう。
『わっ、びっくりした。結衣ちゃん出るの早いね』
「わ、わたしもびっくりした。ちょうど亜希さんに連絡しようとしてて」
『そうなの? 明日のことだけど、理真、今は調子もいいから明日は予定通り登校できるよ』
「そっか……よかった。あと、明日のお祭りのことって何か聞いてますか?」
『えっ、お祭り行くの? ごめんね、何も聞いてないかも。参ったな、明日は夕方から予定があって、何かあったときの連絡先がないと困るよね』
電話越しの亜希さんが焦ったようにバタバタと物を散らすような音が聞こえる。
お祭りに行くのかってわたしに確認されても、北条くんが亜希さんに話していないというのなら、その約束が本当なのかを確認することもできない。
少しだけでも北条くんに電話を変わってもらえないか聞こうとしたとき、あっ! と亜希さんが声を上げる。
『待って、大丈夫。何とかなりそう! それじゃあ、明日は理真と楽しんで』
「え、待ってください。大丈夫って何が……」
『結衣ちゃんごめん、もう切らなきゃ。またね!』
早口に言って、亜希さんは電話を切った。
今は夜の9時を過ぎたところだけれど、電話の向こうは人の家とは違う感じにがやがやと賑わっている様子だった。
そういえば、アルバイトをしていると聞いたことがある。
合間を縫って連絡してくれたことには感謝をしつつ、全くもって宛のない『大丈夫、何とかなりそう』に心配は残っていた。