繋いだ手、結んだ指先で。
同じ祭りの会場にいるからと言って、俊さんは持っていたキャップを北条くんの頭に被せて去っていった。
目の縁まで深く被せられたキャップを整える北条くんの顔と、俊さんの顔を思い出して、うんと納得する。
北条くんの言っていた通り、そっくりだった。
「顔、似てるって思ったんだろ」
「なんでわかったの?」
「じっと見てくるし。三瀬さん、わかりやすいから」
照れているのか怒っているのか、どこにスイッチがあったのかわからないけれど、北条くんの声音は普段と比べてぶっきらぼうな感じがする。
お兄さんに、家族に目の前であんな風に言われたら、少し恥ずかしいものなのかなと疑問に思っていると、北条くんは片手をわたしに差し出した。
「……なに?」
その手には何も乗っていない。
渡したいものでもあったのかと目を瞬かせていると、小さく、違うよ、と北条くんが呟いた。
「手、ちょうだい」
「手……って、手?」
ててて、と口から出てくる羅列は間抜けなもので、戸惑いながらも言われた通りに手を差し出す。
すると、北条くんはさっとわたしの手を取ってぎゅっと握った。