繋いだ手、結んだ指先で。
北条くんと佐原くんたちの間を遮るように立つと、2人は顔を見合わせて、苦笑いを浮かべる。
「ご、ごめん。そんなつもりはなくてさ。邪魔したいとか、そんなんじゃなくて。俺も北条だってわかってテンション上がったのは謝るよ」
謝られても、まだ少し面白がっているように見えて、笑わないでって小さく呟いたら、すっと真面目な顔付きになる。
佐原くんも、吉松くんも。
「何か、事情があるのはわかったよ。でも、さっきも言ったけど、この後部活が終わったやつらも来るから、北条の顔知ってるやつもいるだろうし、あんまりこの辺いるのよくないよ」
佐原くんと吉松くんは2人で内緒話をするようにあれこれと話し合って、ん! と持っていたビニール袋を突き出した。
「焼きそばと、たこ焼きが入ってるから! まだあったけえし、向こうで食えよ」
「どうして、これくれるの?」
「いや……学校には来ないのに、なんでここにいるんだって正直思ったけどさ、祭りに来れるくらい体調良くなってるなら、楽しんでもらいてえじゃん」
バツが悪そうに言って、佐原くんはわたしが受け取るまでビニール袋を押し付けた。
いつの間にかいなくなっていた吉松くんも戻ってきて、かき氷をふたつ、北条くんの手に持たせる。
「北条、元気そうでよかった。連絡先はさ、また今度聞くから。学校で会おうな」
吉松くんがぽんっと肩を叩くと、北条くんは驚いた顔をしていたけれど、少しだけ笑って頷いていた。
佐原くんと吉松くんは、またな! と手を振って人混みに消えてしまう。
残されたわたしと北条くんは、自分たちで買ってもいないのに両手に食べ物を抱えていて。
どちらからともなく、屋台の通りを外れて河原に向かった。