繋いだ手、結んだ指先で。
お祭りに日に戻れたらと、この夏の間に何度考えたかわからない。
でも多分、何も変わらなかっただろうなと思う。
わたしが思い詰めた表情をしていることに気付いて、立川先生は話を聞くよと言ってくれたけれど、首を横に振る。
「北条くんは、大丈夫……」
小さく、ひとりごとのつもりで呟いた。
立川先生はこぼれて落ちたその言葉を拾うように、わたしの手をぎゅっと包んでくれた。
「大丈夫だよ。北条くんは、またここに来るよ」
わたしだけが、嘘つきで、臆病で。
北条くんも立川先生も、北条くんの周りにいる人もみんな、強くて正しくて、真っ直ぐな人だ。
だから、わたしはまだ、その言葉を信じてる。