アルト、お小遣いを学ぶ【アルトレコード】
「先生、笑うなんてひどい!」
「ごめんごめん」
謝りながら、なんだか優越感が沸いてしまうのを止められない。北斗さんより私が優先されるなんて。罪悪感も少しはあるが、やっぱりなんだかうれしい。
「それならこれから北斗さんに買ってあげる?」
「それが……」
アルトはもじもじとうつむいた。
なんだか嫌な予感がしつつ、アルトに尋ねる。
「どうしたの?」
「残りのお小遣いは全部、電子書籍で使っちゃった」
「全部!?」
私は驚いた。昨日、計画的に使うように話したばかりなのに。
「もらえる本って限られてるでしょ? 好きに使っていいって言ってたし……」
もぞもぞと言い訳をするアルトに、私はため息をついた。
「確かに、好きに使っていいって言ったよ。だけどね、お金って無限じゃないの。働いて、その対価である給料として支払われるものなのよ」
「——働いてるAIもお給料もらっているの?」
私はうっと言葉につまった。痛いところを突かれた。
「それは……AIの労働についてはまだアルトには難しいから、また今度ね。今はお小遣いの話をしているんだから」
「はい」
アルトはしゅんとしてうなだれる。良かった、ここを突っ込まれなくて。
「それでね、お金というのは無限にあるものじゃないの。だからみんなよく考えて使っているのよ」
「ふうん……? うん、わかった」
そうは言うももの、いまひとつわかっていなさそうだ。
お金についてはまた改めて教えなくちゃ、と私は彼の教育項目に追加を決めた。
「ごめんごめん」
謝りながら、なんだか優越感が沸いてしまうのを止められない。北斗さんより私が優先されるなんて。罪悪感も少しはあるが、やっぱりなんだかうれしい。
「それならこれから北斗さんに買ってあげる?」
「それが……」
アルトはもじもじとうつむいた。
なんだか嫌な予感がしつつ、アルトに尋ねる。
「どうしたの?」
「残りのお小遣いは全部、電子書籍で使っちゃった」
「全部!?」
私は驚いた。昨日、計画的に使うように話したばかりなのに。
「もらえる本って限られてるでしょ? 好きに使っていいって言ってたし……」
もぞもぞと言い訳をするアルトに、私はため息をついた。
「確かに、好きに使っていいって言ったよ。だけどね、お金って無限じゃないの。働いて、その対価である給料として支払われるものなのよ」
「——働いてるAIもお給料もらっているの?」
私はうっと言葉につまった。痛いところを突かれた。
「それは……AIの労働についてはまだアルトには難しいから、また今度ね。今はお小遣いの話をしているんだから」
「はい」
アルトはしゅんとしてうなだれる。良かった、ここを突っ込まれなくて。
「それでね、お金というのは無限にあるものじゃないの。だからみんなよく考えて使っているのよ」
「ふうん……? うん、わかった」
そうは言うももの、いまひとつわかっていなさそうだ。
お金についてはまた改めて教えなくちゃ、と私は彼の教育項目に追加を決めた。