アルト、お小遣いを学ぶ【アルトレコード】
お昼になると私は食堂に向かった。
アルトはホログラムになってついてきている。
少しでも一緒にいたいというアルトに、ついつい甘やかして同行を許している。北斗さんも許可しているし、と心の中で言い訳をしながら食堂に着き、食事を買って窓際の席につく。私の隣にアルトも座ったとき、正面に知り合いの女性研究員が現れた。
「ここいい?」
「どうぞ」
「いいよ!」
私に続いてアルトが答える。
「アルトもついてきてるんだ」
「そう、まだまだ甘えっ子で」
言いながら、私はそれがうれしい。いつまでも甘えっ子でいてくれたらいいのにとすら思ってしまう。
「ふうん……でもあんまり感情移入するとそのうちつらいかもよ」
冷静な言葉に、私はどきっとした。
「アルトの前ではそういうのはちょっと……」
「あ、ごめん」
彼女はすぐに謝ってくれた。
が、アルトは不安そうに私を見上げる。なにか感じ取ったのだろう。
「大丈夫、アルトのことじゃないからね」
「そう……なの?」
信じていなさそうで、目が悲し気に垂れている。