ひと夏の星に名前をつけるなら
目的の場所に辿り着き、空を見上げる。
今年の夏も、天の川が綺麗に見える。
そして視界いっぱいに広がる星々が、天の川を中心に静かに瞬いている。
「綺麗だな…」
思わずそう呟いていた。
「ほんと、綺麗ですね」
「!?」
後ろから落ち着いた低い声が聞こえて、肩が跳ねる程驚いてしまった。
まさか返答が返ってくるなんて。
私は固まってしまい、振り返ることも忘れてしまう。
「お隣失礼します」
私の心臓はまだ落ち着いていないのに、そんなの気にしていないのか近づいてくる。
草の上が少ししなる音。
夏の夜風に混ざってふわっと爽やかな香りがした。
「ごめんなさい、驚かせてしまいましたね」
謝っているが、どこか掴みどころのない声色。
「いえ、そちらこそ…」
上手く言葉が出てこない。
誰もいないこの場所が好きで毎年来ているのに、人に出会うとは複雑だ。
お気に入りの場所を知られてしまったような残念な気持ちにもなった。
「いつもここで星を見ているんですか?」
そんな私の気持ちは露知らず、彼は話しかけてくる。
「はい」
「僕は初めて来ました。こんな素敵な場所があったなんて」
素っ気ない態度の私に構わず、彼は続けて問う。
「星が好きなんですか?」
「はい、ここの星は見ると落ち着くから」
「それ、なんか分かります。今日はちょっと気分転換にこの辺を散歩してたんですよ。空が綺麗で夢中になってたらこんなところまで来ていて、人の姿が見えたので思わず声をかけてしまいました」
「…」
「すごく綺麗に見えますね。天の川がこんなにも綺麗だったなんて知りませんでした」
確かにこの場所は壮大な天の川を見ることができる。
「…ちょっと不気味だけど」
「え?」
また思わず声が出ていたらしい。
彼がこちらを見た気がした。
天の川は迫力があり、私にはなんだか恐ろしいもののように思える時がある。
今年の夏も、天の川が綺麗に見える。
そして視界いっぱいに広がる星々が、天の川を中心に静かに瞬いている。
「綺麗だな…」
思わずそう呟いていた。
「ほんと、綺麗ですね」
「!?」
後ろから落ち着いた低い声が聞こえて、肩が跳ねる程驚いてしまった。
まさか返答が返ってくるなんて。
私は固まってしまい、振り返ることも忘れてしまう。
「お隣失礼します」
私の心臓はまだ落ち着いていないのに、そんなの気にしていないのか近づいてくる。
草の上が少ししなる音。
夏の夜風に混ざってふわっと爽やかな香りがした。
「ごめんなさい、驚かせてしまいましたね」
謝っているが、どこか掴みどころのない声色。
「いえ、そちらこそ…」
上手く言葉が出てこない。
誰もいないこの場所が好きで毎年来ているのに、人に出会うとは複雑だ。
お気に入りの場所を知られてしまったような残念な気持ちにもなった。
「いつもここで星を見ているんですか?」
そんな私の気持ちは露知らず、彼は話しかけてくる。
「はい」
「僕は初めて来ました。こんな素敵な場所があったなんて」
素っ気ない態度の私に構わず、彼は続けて問う。
「星が好きなんですか?」
「はい、ここの星は見ると落ち着くから」
「それ、なんか分かります。今日はちょっと気分転換にこの辺を散歩してたんですよ。空が綺麗で夢中になってたらこんなところまで来ていて、人の姿が見えたので思わず声をかけてしまいました」
「…」
「すごく綺麗に見えますね。天の川がこんなにも綺麗だったなんて知りませんでした」
確かにこの場所は壮大な天の川を見ることができる。
「…ちょっと不気味だけど」
「え?」
また思わず声が出ていたらしい。
彼がこちらを見た気がした。
天の川は迫力があり、私にはなんだか恐ろしいもののように思える時がある。