私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
「望未先生はあの人が好きなんですか?」

関家君が真剣な顔で私に言った。

「そうだよ」

だから、私も自分の気持ちを素直に答えた。
それだけじゃない。
今、私は『諦めない』と宣言したのだ。
達貴さんに対して。
それに気づいた達貴さんは困ったような顔をしていた。

「彼は魅力的だし、望未ちゃんが惹かれるのもわかる。けれど、よくない男だよ。不用意に近づけば、傷つけられるタイプの男だ」

私のために達貴さんは言ってくれているのはわかっていた。
よくない男だけど、本当は優しい梶井さん。
何度も私を突き放したのに私が諦めなかったから、最後はあんな別れになってしまった。

「わかってるんです」

もう梶井さんは私と会わないつもりだってことも。
その証拠に私の体に痕を残さず、私を追い出してドアを閉じた。
私が梶井さんのことを思い出さないように。

「わかってるならいいよ。口うるさく言ってごめん」

「そんなことないです。私のほうこそ心配かけてすみません」

「いや。そうだ。気晴らしに食事に行こうか」

関家君は『え!?』と小さく声をあげた。

「美味しいものを食べると元気になれるよ」
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