私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
車の窓が開いたところから運転席で微笑む美女と助手席に座る渡瀬さんの姿が見えた。
「千亜妃さん……」
「可愛いわねぇ。高校生カップルかと思ったわ」
「先生と俺が、カ、カップル!?」
「違います。ピアノ教室の生徒です」
「そう。あなた、ピアノをやるんだったわね」
千亜妃さんから甘い香水の香りがした。
「恋人だって答えたら、このまま立ち去るつもりだったけど。ねぇ、望未ちゃん。理滉のことはもういいの?」
望未ちゃん!?
完全に子供扱い。
しかも、千亜妃さんのほうは余裕たっぷりだった。
きっと私が梶井さんの恋人としてあり得ないと思っているからだろうけど……
「もういいっていうか……梶井さんはきっと私と会いたくないと思っているから……」
「どうかしら。渡瀬、どう思う?」
話をふられた渡瀬さんはいつも通りの淡々とした口調で答えた。
「会いたくないというより、会いづらいだけじゃないですか?本人はかっこいい大人の俺を演じてますから、弱い自分を見せたくないだけなんですよ」
「三十過ぎても手のかかる子供のままよね」
「千亜妃さん……」
「可愛いわねぇ。高校生カップルかと思ったわ」
「先生と俺が、カ、カップル!?」
「違います。ピアノ教室の生徒です」
「そう。あなた、ピアノをやるんだったわね」
千亜妃さんから甘い香水の香りがした。
「恋人だって答えたら、このまま立ち去るつもりだったけど。ねぇ、望未ちゃん。理滉のことはもういいの?」
望未ちゃん!?
完全に子供扱い。
しかも、千亜妃さんのほうは余裕たっぷりだった。
きっと私が梶井さんの恋人としてあり得ないと思っているからだろうけど……
「もういいっていうか……梶井さんはきっと私と会いたくないと思っているから……」
「どうかしら。渡瀬、どう思う?」
話をふられた渡瀬さんはいつも通りの淡々とした口調で答えた。
「会いたくないというより、会いづらいだけじゃないですか?本人はかっこいい大人の俺を演じてますから、弱い自分を見せたくないだけなんですよ」
「三十過ぎても手のかかる子供のままよね」