私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
笑いをこらえているようにしか見えない。
いまさら俺が戻ってきたことが、可笑しくてしかたないんだろう。
俺も逆の立場なら、そうなる。
自分で突き放しておきながら、惜しくなって戻ってきたのかと思っているに違いない。
「わかった。じゃあな」
確かに俺らしくなかった。
少し頭を冷やそう。
俺はどうかしてる。
「望未ちゃんに連絡しないの?」
「気が向いたらな」
口うるさいやつだ。
これ以上、話す気はない。
そう思って背中を向けた。
「お母様の時のように今度は後悔しないようにね。時間は無限じゃなくて有限なんでしょ?」
くすくすと悪魔みたいな笑い声。
そんな笑い方するような女だったか?
そう思って、振り返るとそこに渋木小百里の姿はなかった。
「言いたいことだけ言っていなくなるなよ」
なにがデートだ。
ドイツから戻ってくるんじゃなかった。
あいつはあいつで楽しくやっている。
戻ってきた俺が馬鹿みたいに思えた。
しかも、梅雨の重たい空気は不快でしかない。
イライラしながら、マンションの部屋へと帰った。
閉めきっていたマンションの部屋の中は温く、ただ不快だった。
いまさら俺が戻ってきたことが、可笑しくてしかたないんだろう。
俺も逆の立場なら、そうなる。
自分で突き放しておきながら、惜しくなって戻ってきたのかと思っているに違いない。
「わかった。じゃあな」
確かに俺らしくなかった。
少し頭を冷やそう。
俺はどうかしてる。
「望未ちゃんに連絡しないの?」
「気が向いたらな」
口うるさいやつだ。
これ以上、話す気はない。
そう思って背中を向けた。
「お母様の時のように今度は後悔しないようにね。時間は無限じゃなくて有限なんでしょ?」
くすくすと悪魔みたいな笑い声。
そんな笑い方するような女だったか?
そう思って、振り返るとそこに渋木小百里の姿はなかった。
「言いたいことだけ言っていなくなるなよ」
なにがデートだ。
ドイツから戻ってくるんじゃなかった。
あいつはあいつで楽しくやっている。
戻ってきた俺が馬鹿みたいに思えた。
しかも、梅雨の重たい空気は不快でしかない。
イライラしながら、マンションの部屋へと帰った。
閉めきっていたマンションの部屋の中は温く、ただ不快だった。