私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
夕日が沈みかける薄暗い部屋の中、梶井さんは一人なにを思っていたのだろうか。
ううん、そんなことより。
「梶井さん、どうして日本にいるの?来週、コンサートなのに。練習とリハは!?」
スランプ、クビ、人生終了の言葉を思い出し、梶井さんのシャツをひっぱった。
今から空港へ向かうしかない。
なんとしてもドイツ行きの飛行機に放り込まないと!
ここで、梶井さんのチェリストとしての人生を終わらせるわけにはいかない。
「そうだ。だから、明日の飛行機には乗らないといけない」
「なにしにきたの!?」
「お前に会いに来た」
大きな手のひらが私の頬を撫でて、思わず言葉を失った。
あまりにもその手が優しかったのと、私に向ける目がとてつもなく蠱惑的だったから。
それは梶井さんの本気の目だった。
「デート中に呼び出して悪かったな」
「え?デート中?誰のデートですか?姉の買い物に付き合っていただけですけど」
「は?渡瀬がお前が優しくて、さわやかな社長から告白されたって言っていたぞ。あと、『音の葉』の店長がお前がデート中だとか……」
ううん、そんなことより。
「梶井さん、どうして日本にいるの?来週、コンサートなのに。練習とリハは!?」
スランプ、クビ、人生終了の言葉を思い出し、梶井さんのシャツをひっぱった。
今から空港へ向かうしかない。
なんとしてもドイツ行きの飛行機に放り込まないと!
ここで、梶井さんのチェリストとしての人生を終わらせるわけにはいかない。
「そうだ。だから、明日の飛行機には乗らないといけない」
「なにしにきたの!?」
「お前に会いに来た」
大きな手のひらが私の頬を撫でて、思わず言葉を失った。
あまりにもその手が優しかったのと、私に向ける目がとてつもなく蠱惑的だったから。
それは梶井さんの本気の目だった。
「デート中に呼び出して悪かったな」
「え?デート中?誰のデートですか?姉の買い物に付き合っていただけですけど」
「は?渡瀬がお前が優しくて、さわやかな社長から告白されたって言っていたぞ。あと、『音の葉』の店長がお前がデート中だとか……」