私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
俺と一緒に演奏するつもりならそれくらいの覚悟がいる。

「ちゃんと楽譜どおりにやれよ?あと、定期的にチェックするからな」

「電話もかけていいの!?」

「俺からかける」

「そうだよね」

しゅんっとした。
忙しいやつだよ、こいつは。

「毎日俺から連絡する」

「毎日!?」

「だから、いい子でいろよ」

「すぐに子供扱いして」

「子供なんて思ってねえよ」

望未は嬉しそうな顔をして微笑んだ。
なにを思いついたのか、そうだと小さくつぶやき、腕を伸ばして俺のシャツをつかむ。
唇を重ねて、キスをしてきた。
ついばむようなキス。

「下手くそ。キスはこうだろ」

角度を変え、深く食らうようにキスをする。
お前は俺の毒で満たされろ。
俺の毒で満たされたら、誰もお前を俺から奪えない。
母さんに今なら教えてあげられたかもしれないな。
持っている毒はこうして相手を繋ぎ止めるためにあるってことを俺は知った。
こいつのおかげで―――
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