私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
「かっこいい人だねー」
「うん……」
でも、どこかで見たことがある。
気のせいかな。
親切な男の人から目が離せず、私はじっと背中を見つめていた。
足を止めて、ツリーを見上げている。
その横顔をしっかり見たいのに雪が舞っていて、私の前を遮っていた。
もう一度だけ―――神様、もう一度だけあの人の顔を見せてください。
そう願っていた。
叶うと思っていなかった私のお願いを神様は聞いてくれたのか、くるりと足をこちらに向け、近寄って来た。
胸がドキドキした。
もしかして『君に一目ぼれしたんだ』とか!?
「これ、やるよ」
ぐしゃりと丸められたコンサートのチケット。
ドイツの名門オーケストラのコンサートだった。
明日の夜にコンサートがある。
それもホテルの近く。
「ありがとうございますっ!」
「迷子になると困るから、親と来いよ」
え?迷子?
私と菜湖ちゃんは並んでその男の人を見上げた。
「夜も遅い。早く帰れよ」
大人が子供に言い聞かすような口ぶりで言うと、去って行った。
「私達、子供扱いだったね」
菜湖ちゃんがぽつりと私に言った。
「うん……」
「うん……」
でも、どこかで見たことがある。
気のせいかな。
親切な男の人から目が離せず、私はじっと背中を見つめていた。
足を止めて、ツリーを見上げている。
その横顔をしっかり見たいのに雪が舞っていて、私の前を遮っていた。
もう一度だけ―――神様、もう一度だけあの人の顔を見せてください。
そう願っていた。
叶うと思っていなかった私のお願いを神様は聞いてくれたのか、くるりと足をこちらに向け、近寄って来た。
胸がドキドキした。
もしかして『君に一目ぼれしたんだ』とか!?
「これ、やるよ」
ぐしゃりと丸められたコンサートのチケット。
ドイツの名門オーケストラのコンサートだった。
明日の夜にコンサートがある。
それもホテルの近く。
「ありがとうございますっ!」
「迷子になると困るから、親と来いよ」
え?迷子?
私と菜湖ちゃんは並んでその男の人を見上げた。
「夜も遅い。早く帰れよ」
大人が子供に言い聞かすような口ぶりで言うと、去って行った。
「私達、子供扱いだったね」
菜湖ちゃんがぽつりと私に言った。
「うん……」