私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
July 第27話 夏の影
梅雨が明けた七月の半ば。
カフェ『音の葉』は今日もいつもと同じようにランチタイム前の準備をしていた。
店長の小百里さんは屋上でとれたベリー類を洗って、デザートができないか穂風さんと話をしていた。
テーブルに白いリネンのクロスをかけて小百里さんが生けた花を置いていく。
昨晩、みんなでワックスをかけた床はピカピカだった。
「望未ちゃん、昨日は遅くまでありがとう。よかったら、試作品だけど一口どうぞ」
小百里さんが透明なガラスの器にフローズンヨーグルトにブルーベリーやラズベリー、ブラックベリーをのせたものをカウンターテーブルに置いてくれた。
「いいえ。床がきれいになってよかったです。ベリー類が可愛いデザートですね」
「見た目は可愛いけど、食べたら酸っぱいの」
小百里さんはくすりと笑う。
「どうしてかしら」
ベリー類が入ったボウルを静かに小百里さんは眺めていた。
そのボウルを穂風さんが小百里さんの頭上からひょいっと取り上げた。
「ジャムかソースに使うよ」
穂風さんが食べてみて、とスプーンを私に渡してくれた。
カフェ『音の葉』は今日もいつもと同じようにランチタイム前の準備をしていた。
店長の小百里さんは屋上でとれたベリー類を洗って、デザートができないか穂風さんと話をしていた。
テーブルに白いリネンのクロスをかけて小百里さんが生けた花を置いていく。
昨晩、みんなでワックスをかけた床はピカピカだった。
「望未ちゃん、昨日は遅くまでありがとう。よかったら、試作品だけど一口どうぞ」
小百里さんが透明なガラスの器にフローズンヨーグルトにブルーベリーやラズベリー、ブラックベリーをのせたものをカウンターテーブルに置いてくれた。
「いいえ。床がきれいになってよかったです。ベリー類が可愛いデザートですね」
「見た目は可愛いけど、食べたら酸っぱいの」
小百里さんはくすりと笑う。
「どうしてかしら」
ベリー類が入ったボウルを静かに小百里さんは眺めていた。
そのボウルを穂風さんが小百里さんの頭上からひょいっと取り上げた。
「ジャムかソースに使うよ」
穂風さんが食べてみて、とスプーンを私に渡してくれた。