私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
電話越しから、はぁっとため息をつく声が聞こえた。
なんだか、梶井さんってあんまり人望がないの?
渡瀬さんといい、深月さんといい、梶井さんにすっごく冷たいような気がするんだけど、私の気のせいなのかな。

『どこ?』

「カフェ音の葉です」

『わかった』

「よろしくお願いします」

『たぶん伝える』

ブツッと電話が切れた。
た、たぶん!?
私の憧れの人、梶井さんはどうしてこんな扱いなの?
梶井さんは悪い人じゃない―――ううん。
悪い人なのかな。
ファーストキスを奪われたことを思いだし、やっぱり悪い人のような気がした。
胸の前でうーんと腕を組むこと数分。

「少し待ってみよう」

フルーツパフェを食べ終えるとランチのメニューを片付けて、ディナーのメニューをテーブルに並べた。
夜は八時まで。
今日の日替わりはてんぷら盛り合わせと山菜蕎麦、いなりずしがついてくるセット。
洋食の方のセットはエビのグラタンとからあげにサラダ、ガーリックトーストのセット。

「私はお蕎麦かなぁ」

今日の気分は和食。
肌寒い三月の夜に暖かいお蕎麦はうれしい。
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